この記事では、介護福祉士を取るための4つの受験ルートと、自分がどのルートに当たるかの確かめ方を説明します。あわせて、取得までの期間と費用の決まり方、国家試験の流れ、初任者研修からケアマネ・社会福祉士までの資格の順番、資格と給与の関係を公的資料をもとに整理します。

結論から書きます。介護福祉士の受験ルートは「実務経験」「養成施設」「福祉系高校」「EPA(経済連携協定)」の4つです。働きながら取る場合は実務経験ルートに当たります。このルートでは、従業期間3年以上・従事日数540日以上の実務経験と、実務者研修の修了の両方が必要です(社会福祉振興・試験センター)。

介護の資格一覧:初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネの順に積み上げる

介護の資格は、「研修」「国家資格」「公的資格」の3種類に分かれます。研修は、修了すると要件を満たしたことになります(喀痰吸引等研修のように、修了後に都道府県知事の認定が必要なものもあります)。国家資格は、国家試験に合格して登録すると名乗れます(養成施設の卒業者には、試験に合格していなくても一定期間は資格を持てる経過措置があります。後の見出しで説明します)。ケアマネ(介護支援専門員)は都道府県に登録する公的資格です。現在は介護支援専門員証に有効期間がありますが、有効期間と更新研修の廃止が法律で決まっています(後の見出しで説明します)。

資格種類取り方主な位置づけ
介護職員初任者研修研修(修了)130時間の研修を修了訪問介護で身体介護に従事するための研修の一つ
生活援助従事者研修研修(修了)59時間の研修を修了訪問介護の生活援助中心型サービスに従事するための研修
介護福祉士実務者研修研修(修了)450時間の研修を修了(保有資格で一部免除)実務経験ルートの受験要件。訪問介護のサービス提供責任者の資格要件の一つ
介護福祉士国家資格(登録・名称独占)国家試験に合格し、登録介護の国家資格
介護支援専門員(ケアマネ)公的資格(都道府県に登録)試験に合格し、実務研修を修了して登録ケアプランの作成などを担う
社会福祉士・精神保健福祉士国家資格(登録・名称独占)国家試験に合格し、登録相談援助を担う

初任者研修と生活援助従事者研修の時間数は、厚生労働省老健局の「介護員養成研修の取扱細則」に定められています。実務者研修の450時間と科目は、社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則の第7条の2と別表第五に定められています。

介護の職場で働く人がどの資格を持っているかは、介護労働安定センターの「介護労働実態調査」で公表されています。この調査は、介護保険サービス事業所に勤める労働者を対象にしています。障害福祉サービスや病院で働く人は対象に含まれません。

無資格で働く場合と認知症介護基礎研修の受講義務

介護福祉士は業務独占ではなく、名称独占の資格です。そのため、無資格で介護職員として採用する職場もあります。

ただし、医療・福祉関係の資格を持たずに介護に直接携わる職員には、認知症介護基礎研修の受講が義務付けられています。これは令和3年度介護報酬改定で定められ、経過措置は2024年3月末で終了しています。施行済みの制度です。

訪問介護で身体介護を行うには、初任者研修などの研修を修了している必要があります。無資格のまま訪問介護員として身体介護をすることはできません。

介護職員初任者研修(入門の研修)

初任者研修は130時間の入門の研修です。介護の基本、コミュニケーション、生活支援技術などを学び、修了時に筆記試験があります。研修を実施する事業者は、都道府県が指定しています。

初任者研修は介護福祉士の受験要件ではありません。ただし、修了していると実務者研修の一部の科目が免除されます。

介護福祉士実務者研修(国家試験の受験要件になる研修)

実務者研修は450時間の研修です。実務経験ルートで介護福祉士を受験するには、この研修の修了が必要です。

初任者研修などを修了している人は、一部の科目が免除されて受講時間が短くなります。初任者研修を受けずに、実務者研修から受講することもできます。その場合は、免除のない時間数で受講します。

介護福祉士(国家資格・名称独占)

介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格です。国家試験に合格し、社会福祉振興・試験センターに登録すると名乗れるようになります。介護福祉士でない人が介護福祉士という名称を使うことは、同法で禁止されています。

ケアマネ・認定介護福祉士・喀痰吸引等研修などその先の資格

介護福祉士の次には、次のような資格・研修があります。

  • ケアマネ(介護支援専門員):介護福祉士として5年以上の実務経験などで受験できます(詳しくは後の見出しで説明します)。
  • 認定介護福祉士:民間の認証機関が認定する仕組みで、国家資格ではありません。
  • 喀痰吸引等研修:介護職員が一定の条件のもとで喀痰吸引や経管栄養を行うための研修です。修了後に都道府県の認定を受けます。
  • 社会福祉士・精神保健福祉士:相談援助の国家資格です。

介護福祉士の取り方:4つの受験ルートと自分の当てはめ方

受験ルートは4つあります。自分がどれに当たるかは、試験センターの資格取得ルート図で確認できます。

ルート主な対象主な要件
実務経験ルート働きながら取る人従業期間3年以上・従事日数540日以上の実務経験+実務者研修の修了
養成施設ルート介護福祉士養成施設の卒業者養成施設の卒業
福祉系高校ルート福祉系高校の卒業者卒業した高校の種類で要件が異なる
EPAルート経済連携協定に基づく介護福祉士候補者受入れ施設での実務経験など

実務経験ルート(働きながら取る人の大半が通るルート)

働きながら介護福祉士を取る場合は、このルートに当たります。要件は次の2つです(試験センター 実務経験+実務者研修ルート)。

  1. 従業期間3年以上・従事日数540日以上の実務経験
  2. 実務者研修の修了

従業期間と従事日数は、両方を満たす必要があります。従業期間は、対象の施設・職種に在籍していた期間です。従事日数は、実際に介護等の業務に従事した日数です。在籍期間が3年あっても、従事日数が540日に届かなければ受験できません。

常勤か非常勤かといった雇用形態は問われません。パート・派遣・夜勤専従で働いた期間も、対象の施設・職種であれば数えられます。夜勤の日数の数え方などは、試験センターの従業期間計算表と案内で確認できます。

実務経験として数えられる施設・職種と、数えられない業務

実務経験に数えられるのは、試験センターが定める範囲の施設で、介護等の業務を主な業務とする職種に就いていた期間です。範囲は実務経験の範囲に一覧で示されています。

区分例確認先
老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービス、訪問介護、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など。訪問介護のサービス提供責任者としての業務は対象外実務経験の範囲
障害福祉の施設・事業所障害者支援施設などの生活支援員など(生活支援員は、介護等の業務が主な業務であることなど、一覧の注意事項の条件を満たす場合)実務経験の範囲
病院・診療所看護補助者など実務経験の範囲
数えられない業務事務、調理、送迎だけの業務など、介護等を主な業務としないもの実務経験の範囲

同じ施設に勤めていても、職種によって扱いが分かれます。生活相談員など、相談援助を主な業務とする職種の期間がどう扱われるかも、一覧で確認してください。

実務経験は、勤務先の施設・事業所の代表者が「実務経験証明書」で証明します。複数の職場の期間を合算する場合は、それぞれの勤務先から証明書をもらいます。退職した職場にも依頼が必要になるため、早めに準備しておくと手続きが進めやすくなります。

自分の経験がどのルートに当たるかを整理したいときは、診断で今の資格と経験から確認できます。

養成施設ルートと、卒業者への国家試験義務化の経過措置

養成施設ルートは、介護福祉士養成施設(専門学校・短大・大学など)を卒業して受験するルートです(試験センター 養成施設ルート)。

養成施設の卒業者にも、国家試験の受験が義務化されています。ただし、経過措置があります。試験センターの「介護福祉士経過措置登録について」によると、対象は平成29年4月1日から令和14年3月31日までに養成施設を卒業した人です。この期限は法改正で延長されてきたもので、令和4年3月31日から令和9年3月31日に、さらに令和14年3月31日に延ばされています。

この記事で書いているのは、試験センターの案内にある範囲です。入学前と卒業前に、同じページで最新の扱いを確認してください。

福祉系高校ルート

福祉系高校ルートは、福祉系の高校で所定の科目を修めて卒業した人のルートです。卒業した高校の種類(入学年度や、特例高校かどうか)で要件が変わります。特例高校などの卒業者は、卒業後9か月以上の実務経験が必要です。実技試験は、令和6年度の試験から廃止されています(試験センター 特例高校等)。要件は資格取得ルート図で確認できます。

EPA(経済連携協定)ルート

EPAルートは、経済連携協定に基づいて来日した介護福祉士候補者のルートです。受入れ施設で実務経験を積んで受験します(試験センター EPAルート)。

介護福祉士を取るまでの期間と費用:働きながら最短で進めるには

期間は、「実務経験を満たす時期」と「実務者研修を修了する時期」の両方で決まります。実務者研修の研修期間は原則6か月以上で、受験する年度の3月31日までに修了する見込みであれば申し込めます(試験センター 実務者研修)。費用は「公式に定まっている手数料」と「受講機関によって変わる研修費用」に分けて考えます。

実務経験ルートの標準的なスケジュール(実務年数の満了と受験年度の関係)

実務経験ルートでは、受験する年度の末日までに実務経験を満たす見込みであれば、見込みのまま申し込める場合があります。実務者研修も、修了見込みで申し込める場合があります。見込みでの申込の条件と期限は、試験センターの受験の手続きで確認してください。

時期すること
働き始め〜従業期間と従事日数を記録する
実務経験を積んでいる間実務者研修を受講する(研修期間は原則6か月以上。実務経験と並行して進められる)
受験する年度の夏から秋受験の申込(年度で変わる)
例年1月筆記試験
合格発表のあと登録の申請

これから働き始める人は、従業期間3年を満たす日が、どの年度の末日までに来るかを数えます。その年度の試験が、最初に受けられる試験の目安です。従事日数540日も同じ時期までに満たしているかを、あわせて確認してください。実務者研修も、その年度の3月31日までに修了する見込みが必要です。

実務者研修の受講期間と費用が決まる仕組み(保有資格による免除・通信と通学)

実務者研修の受講期間と費用は、受講機関によって違います。決まり方は次の3点です。

  • 保有資格:初任者研修などの修了者は一部の科目が免除され、受講時間と費用が変わります。
  • 通信と通学:通信で学べる部分と、医療的ケアの演習など通学(面接授業)で受ける部分があります。
  • 開講日程:通学日の設定や修了までの期間は、コースごとに違います。

通学日が勤務日と重なる場合は、職場にシフトの相談が必要です。

受験手数料と登録手数料

公式に金額が定まっている費用は、次の2つです。

費用内容確認先
受験手数料国家試験の申込時に払う試験センター 受験の手続き
登録手数料・登録免許税合格後の登録申請時に払う試験センター 資格登録

金額は改定されることがあるため、申込・申請の年度のページで確認してください。

費用負担を減らす制度:教育訓練給付・修学資金等貸付・勤務先の資格取得支援

研修費用の負担を減らす方法は、主に3つあります。

  1. 教育訓練給付:雇用保険の加入期間などの要件を満たす人が、厚生労働大臣の指定講座を修了すると、受講費用の一部が支給されます。給付率は講座の種類(一般・特定一般・専門実践)で違います。受講する講座が指定されているかと要件は、厚生労働省の教育訓練給付金のページとハローワークで確認できます。
  2. 介護福祉士修学資金等貸付制度:実務者研修の受講資金などを借りられる国の制度です。窓口は都道府県社会福祉協議会で、貸付の条件や返還免除の条件は都道府県ごとに違います。
  3. 勤務先の資格取得支援:受講料の補助や、研修日のシフト配慮をする職場があります。有無と内容は職場ごとに違います。

都道府県で異なる点(貸付制度・研修実施機関・試験会場)

住んでいる都道府県によって、次の点が違います。

  • 修学資金等貸付の窓口と条件(都道府県社会福祉協議会ごと)
  • 初任者研修の指定事業者(都道府県が指定・公表)と、実務者研修を受講できる機関
  • 筆記試験の受験地(申込時に会場の地域を選ぶ)

介護福祉士国家試験の流れと合格率

申込から合格発表・登録までの年間スケジュール

試験は年1回です。申込は前年の夏から秋、筆記試験は例年1月、合格発表は例年3月ごろです。具体的な日付は年度で変わるため、試験センターの受験の手続きで確認してください。

筆記試験の科目構成とパート合格

筆記試験は、介護の基本、生活支援技術、こころとからだのしくみなどの科目群で構成されています。

筆記試験には「パート合格」が導入されています。科目群を3つのパートに分け、合格基準に達したパートは、翌年と翌々年の試験で受験が免除されます。不合格でも、合格したパートを持ち越せる仕組みです。令和8年度の試験からは、前回の試験でパート合格に該当した人だけが、全パートを受験するか不合格のパートだけを受験するかを申込時に選べます。それ以外の人は全パートを受験します。不合格パートの一部だけを受験することや、申込後に選択を変えることはできません。詳しくは試験センターのパート合格についてと合格基準で確認できます。

実技試験は廃止され、筆記試験のみ

実技試験は、令和6年度の試験から廃止されています。現在はどのルートも筆記試験だけです(試験センター 受験資格:特例高校等の注意)。福祉系高校の特例高校などの卒業者は、登録の申請前に介護過程Ⅲなどの修了証明が必要になるなど、ルートによって受験後の手続きが異なります。自分のルートの扱いは、資格取得ルート図で確認してください。

合格率の推移と読み方

受験者数・合格者数・合格率は、厚生労働省が毎年の合格発表で公表しています。

公表される合格率は、全ての受験ルートの受験者を合わせた数値です。ルートによって受験者の学習歴や実務経験は違います。合格発表では、受験資格別の合格率も公表されています。例えば第38回(令和7年度)では、全体の合格率70.1%に対し、受験資格別では58.8%から90.9%まで差がある一方、全体とほぼ同じ区分もありました(厚生労働省 介護福祉士国家試験 合格者の内訳(受験資格別))。自分のルートの目安は、受験資格別の数字で確認してください。

合格後の登録手続き(登録しないと介護福祉士を名乗れない)

合格しただけでは、介護福祉士を名乗れません。試験センターに登録を申請し、登録簿に登録されて初めて介護福祉士になります。手続きは試験センターの資格登録で確認できます。

国家試験に合格して登録した介護福祉士に、更新の手続きや資格の期限はありません。養成施設の経過措置登録には有効期限があります(上の「養成施設ルート」の節)。結婚などで氏名や本籍が変わったときは、変更の届出が必要です。

ケアマネ(介護支援専門員)の受験要件:介護福祉士の次に目指す資格

受験資格になる資格に基づく業務と相談援助業務(実務経験の年数・日数)

ケアマネの試験(介護支援専門員実務研修受講試験)は、次の業務の期間を合わせて、通算5年以上かつ900日以上従事した人が受験できます(介護保険法施行規則 第113条の2)。

  • 定められた資格(介護福祉士、社会福祉士、看護師、医師などの国家資格のほか、准看護師、栄養士など)に基づく業務
  • 生活相談員・支援相談員・相談支援専門員など、定められた相談援助業務

2つの業務の期間は、合わせて数えられます。

介護福祉士を取った人は、介護福祉士として介護等の業務に従事した期間を数えます。介護福祉士を持たなくても、看護師や社会福祉士などの資格に基づく業務や、相談援助業務の経験で受験できる場合があります。

初任者研修・実務者研修だけでは受験できない理由

受験資格になるのは、定められた資格に基づく業務か、定められた相談援助業務です。初任者研修と実務者研修は研修であり、受験資格の対象になる資格ではありません。そのため、研修の修了だけでは受験資格になりません。

試験から実務研修・登録・証明書の交付までの流れ

合格したあとの流れは次のとおりです。

  1. 都道府県が実施する介護支援専門員実務研修を修了する
  2. 都道府県に登録を申請する
  3. 介護支援専門員証の交付を受ける

ケアマネとして働けるのは、介護支援専門員証の交付を受けてからです。現在、介護支援専門員証の有効期間は5年で、更新には更新研修の修了が必要です。この有効期間と更新研修は、廃止が決まっています(次の見出し)。

受験者数・合格者数・合格率は、厚生労働省が介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況として公表しています。

都道府県ごとに異なる点(申込窓口・日程・実務経験証明の様式)

ケアマネ試験は各都道府県が実施します。次の点は都道府県ごとに違います。

  • 申込窓口(都道府県や、委託を受けた団体)
  • 申込期間と受験案内の配布時期
  • 実務経験証明書の様式と提出書類

受験する都道府県は選べません。原則として、現在従事している勤務地の都道府県で受け、現在対象の業務に従事していない人は住所地の都道府県で受けます。受験する年度の試験案内で確認してください。

更新制の廃止:決定済み(施行日は政令で定める)

介護支援専門員証の有効期間と、その交付・更新のために受講する研修(更新研修など)の廃止は、2026年6月25日に公布された社会福祉法等の一部を改正する法律で決まっています。代わりに、厚生労働省令で定める者を除く介護支援専門員は、都道府県知事が行う研修を受けることになります。この部分の施行日は、公布の日から1年6か月を超えない範囲で政令で定められます(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1518 第2の8・第10)。施行までは、現在の有効期間(5年)と更新研修の仕組みが続きます。

受験要件の見直しなど、施行通知で確認できない内容は、この記事では決定事項として扱いません。受験する年度の要件は、都道府県の試験案内で確認してください。

社会福祉士・精神保健福祉士の受験資格:介護職から相談職を目指す場合

社会福祉士の主な受験ルート(福祉系大学・短大+実務・一般養成施設)

社会福祉士の受験ルートは、学歴と実務経験の組み合わせで決まります(試験センター 社会福祉士 資格取得ルート図)。

学歴など主な進み方
福祉系4年制大学(指定科目を履修)卒業して受験
福祉系短大など(指定科目を履修)卒業後に相談援助の実務経験を積んで受験
一般の大学など一般養成施設を修了して受験
大学を出ていない場合など相談援助の実務経験を4年以上積み、一般養成施設を修了して受験

介護の仕事をしながら目指す場合、一般養成施設(通信課程を含む)に進めるのは、一般の4年制大学を卒業した人、一般の短大などを卒業して相談援助の実務経験を1〜2年積んだ人、相談援助の実務経験が4年以上ある人です。介護職員としての業務は相談援助の実務経験に含まれないため、学歴によっては先に相談援助の職種に就く必要があります。

精神保健福祉士の主な受験ルート

精神保健福祉士のルートも、社会福祉士と同じく学歴と実務経験の組み合わせで決まります(試験センター 精神保健福祉士 資格取得ルート図)。社会福祉士は福祉全般の相談援助、精神保健福祉士は精神障害のある人の相談援助を担う資格です。

相談援助の実務経験として認められる職種(生活相談員などと介護職員の違い)

社会福祉士・精神保健福祉士の受験資格でいう実務経験は、相談援助の業務です。対象になる施設・職種は、資格ごとに定められています。社会福祉士では、特別養護老人ホームの生活相談員や介護老人保健施設の支援相談員などが含まれます(試験センター 社会福祉士 相談援助業務)。精神保健福祉士の一覧は精神科病院や障害福祉サービス事業所などが中心で、介護保険の分野では地域包括支援センターだけが挙がっており、生活相談員・支援相談員は含まれていません(試験センター 精神保健福祉士 相談援助業務)。

介護を主な業務とする介護職員の期間は、相談援助の実務に当たりません。どの施設・職種が該当するかは、上の一覧で確認してください。

共通科目と同時受験

社会福祉士と精神保健福祉士の試験には共通科目があります。一方の資格を持つ人は、もう一方を受験するときに共通科目の免除を申請できます。両方を同じ年に受験することもできます。

資格と年収の関係:資格ごとに給与はどれくらい違うか

介護職員・介護福祉士の年収(公的統計)

次の表は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにしています。この調査は、常用労働者10人以上の事業所に勤める一般労働者(短時間労働者を除く)の集計です。職種区分は「介護職員(医療・福祉施設等)」と「訪問介護従事者」です。

年収は「きまって支給する現金給与額 × 12 + 前年1年間の賞与その他特別給与額」で計算しています。税金や社会保険料を引く前の額面です。自分の数字と比べるときは、手取りではなく額面で比べてください。

介護職の推定年収(2025年)
職種(統計上の区分)男女計男女
介護職員(医療・福祉施設等)388万円418.4万円371.3万円
訪問介護従事者381.9万円390万円379.4万円
介護支援専門員(ケアマネージャー)441.3万円487.9万円422.3万円
その他の社会福祉専門職業従事者※代用区分441.7万円474.9万円419.3万円
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年(一般労働者、企業規模計)。推定年収 = きまって支給する現金給与額 × 12 + 年間賞与その他特別給与額。 ※代用区分: 独立した職種区分が無いため、上位の区分の値で代用。 その他の社会福祉専門職業従事者: 社会福祉士・精神保健福祉士・生活相談員は賃金構造基本統計調査に独立した職種区分が無く、この区分(保育士・ケアマネを除く社会福祉専門職)に含まれる

資格別・年齢別の詳しい比較は、介護福祉士・介護職の年収で確認できます。

保有資格別の平均給与の違い(無資格・初任者研修・実務者研修・介護福祉士)

厚生労働省の令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要は、保有資格別の平均給与額を示しています。この集計は、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の、常勤・月給の介護職員が対象です。加算を取得していない事業所や、非常勤・時給の職員は含まれません。

保有資格別に見ると、保有資格なしの介護職員より、介護福祉士の資格を持つ介護職員のほうが平均給与額は高くなっています。表の「社会福祉士」は、社会福祉士の資格を持つ介護職員の平均です。

この調査は、資格による差の要因を分けて示していません。勤続年数、役職、夜勤の有無などが関係すると考えられます。資格を取れば給与が上がると言い切れるものではありません。

処遇改善加算と資格・経験の関係

介護職員等処遇改善加算は、2024年6月に一本化されて施行されています。加算を取得するには、キャリアパス要件などを満たす必要があります。要件の一つ(キャリアパス要件Ⅲ)は、介護職員について「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み」を設けることです(厚生労働省老健局 令和8年度 介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 3(1)④)。

この要件は、これまで加算の対象だったサービスでは、加算Ⅳ以外の区分を取得する事業所に適用されます。加算Ⅳは、この要件を満たさなくても算定できます。加算を取得していない事業所には当てはまりません。昇給の仕組みが資格に応じたものか、定期の判定によるものかは、事業所ごとに違います。

2026年6月施行の改定で、これまで加算の対象でなかったサービスの一部が新たに対象になりました(介護保険最新情報 Vol.1479)。新たに対象となったサービスと、そのサービスに適用される要件は、同じ通知で確認できます。従来から対象だったサービスの要件と同じとは限りません。

資格手当とサービス提供責任者など資格が条件になる役割

資格手当が付く職場があります。有無と額は職場ごとに違います。

資格が配置の条件になる役割もあります。訪問介護のサービス提供責任者は、介護福祉士や実務者研修修了者などから配置すると定められています(指定居宅サービス等の人員基準・解釈通知)。この要件は訪問介護に適用されるものです。サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成や訪問介護員への指導などを担います。

年齢別:20代・40代・50代から介護福祉士を目指す場合

年齢別に見た介護職の給与(公的統計)

次の表も、厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにしています。対象は前の見出しと同じく、常用労働者10人以上の事業所に勤める一般労働者(短時間労働者を除く)で、「介護職員(医療・福祉施設等)」の区分です。

介護職員(医療・福祉施設等)の年齢階級別の推定年収(男女計)
年齢階級推定年収きまって支給する給与(月額)年間賞与
20~24歳316.3万円237,700円310,200円
25~29歳357.6万円259,300円464,300円
30~34歳384.2万円275,900円531,200円
35~39歳414.4万円293,100円626,300円
40~44歳414.2万円291,500円644,100円
45~49歳413.9万円293,200円620,300円
50~54歳416.4万円293,600円640,400円
55~59歳394.3万円281,200円568,500円
60~64歳366万円264,100円491,100円
65~69歳314.6万円238,800円280,400円
70歳~291.6万円223,200円237,700円
~19歳250.5万円201,400円88,000円
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年(一般労働者)。推定年収 = きまって支給する現金給与額 × 12 + 年間賞与その他特別給与額。

年齢階級ごとの平均には、勤続年数や役職の違いが含まれます。この表は、年齢そのものが給与を決めていることを示すものではありません。

20代・未経験から始める場合の進め方

介護福祉士の受験に年齢制限はありません(資格取得ルート図)。未経験から始める場合は、次の順で進められます。

  1. 初任者研修を受けるか、研修受講を支援する職場に就職する
  2. 実務経験を積みながら、従業期間と従事日数を記録する
  3. 実務者研修を受講する
  4. 実務経験を満たす年度の試験に申し込む

学校に通える場合は、養成施設ルートも選べます。卒業後の経過措置(卒業後5年間の経過措置登録)は、令和14年3月31日までの卒業者が対象です。令和9年4月1日以降に卒業する人は、有効期限までに国家試験に合格する必要があります(上の「養成施設ルート」の節)。

40代・50代で資格を取る場合の進め方(実務年数の満了時期と受験年齢)

40代・50代から始める場合も、要件は年齢にかかわらず同じです。従業期間3年以上・従事日数540日以上の実務経験と、実務者研修の修了が必要です。

その先にケアマネを考えている場合は、介護福祉士の取得後にさらに通算5年以上かつ900日以上の業務経験が必要です。介護福祉士の受験年度と、ケアマネの受験資格を満たす時期を、続けて数えておくと計画が立てやすくなります。

異業種から転職して資格を取る場合(資格取得支援のある職場を選ぶ)

異業種から転職する場合は、資格取得支援がある職場を選ぶと、働きながら進めやすくなります。支援の有無と内容は職場ごとに違うため、応募の段階で確認してください。今の経験からどの順番で進めるかは、診断で確認できます。

取った資格をどう活かすか:職場選びと次のステップ

資格によって任される役割と配置の違い(サービス種別ごと)

サービス種別資格と役割の関係
訪問介護身体介護には初任者研修などの修了が必要。サービス提供責任者は介護福祉士・実務者研修修了者などから配置
施設・通所無資格の職員を採用する職場もある。介護福祉士の配置割合が一部の加算の要件になっている
居宅介護支援ケアプランの作成は介護支援専門員が担う
喀痰吸引などを行う職場喀痰吸引等研修の修了と都道府県の認定が必要

資格による役割の分け方や登用の基準は、職場ごとに違います。

資格取得支援がある職場の見分け方(費用補助・シフト配慮・実務経験証明)

求人票や面接で、次の点を確認できます。

  • 費用補助の範囲:受講料・受験手数料のどこまでが対象か
  • 補助の条件:一定期間勤務しないと返還が必要になる条件があるか
  • シフト配慮:実務者研修の通学日や試験日に休みを取れるか
  • 勤務扱い:研修の時間が勤務時間として扱われるか
  • 実務経験証明書:退職後も含めて発行に対応してもらえるか

自分に合う次のステップを診断で確認する

当サイトの利用者には、無資格や初任者研修の段階から実務者研修を目指す人と、介護福祉士を取ったあとに次の役割を探す人がいます。この記事の見出しは、その段階の順(初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネ・社会福祉士)に並べています。

今の資格と経験から次に何をするかは、診断で確認できます。資格ごとの給与の比較は、介護福祉士・介護職の年収にまとめています。働き先を探す場合は、比較ページで条件から選べます。

よくある質問

資格がなくても介護の仕事はできますか?

できる職場があります。介護福祉士は業務独占ではなく、名称独占の資格です。ただし、医療・福祉関係の資格を持たずに介護に直接携わる職員には、認知症介護基礎研修の受講が義務付けられています(施行済み)。訪問系サービス(訪問入浴介護を除く)、福祉用具貸与、居宅介護支援は対象外です。また、訪問介護で身体介護をするには、初任者研修などの研修の修了が必要です。

実務者研修を修了すれば介護福祉士の試験を受けられますか?

実務者研修の修了だけでは受験資格になりません。実務経験ルートでは、従業期間3年以上・従事日数540日以上の実務経験と、実務者研修の修了の両方が必要です。受験する年度の末日までに実務経験を満たす見込みであれば、見込みで申し込める場合があります。条件は試験センターの受験の手続きで確認してください。

パートや派遣で働いた期間も実務経験に数えられますか?

雇用形態は問われず、従業期間と従事日数の両方を満たせば数えられます。対象の施設・職種であることが条件で、事務や送迎だけの業務は数えられません。複数の職場の期間を合算する場合は、それぞれの勤務先から実務経験証明書をもらいます。範囲は実務経験の範囲で確認できます。

介護福祉士の合格率はどのくらいですか?

受験者数・合格者数・合格率は、厚生労働省が毎年の合格発表で公表しています。公表される合格率は全体の数値で、同じ発表に受験資格別の合格率も載っています。区分によって全体と差がある場合もほぼ同じ場合もあるため、自分のルートの区分で確認してください。筆記試験にはパート合格が導入され、合格基準に達したパートは翌年と翌々年の試験で受験が免除されます。仕組みは試験センターのパート合格についてで確認できます。

養成施設を卒業すれば試験を受けなくても介護福祉士になれますか?

養成施設の卒業者にも、国家試験の受験が義務化されています。経過措置の対象は、平成29年4月1日から令和14年3月31日までの養成施設卒業者です。対象者は、卒業した年度の翌年度の4月1日から5年間、国家試験に合格していなくても介護福祉士となる資格を持ちます。有効期限までに合格するか、卒業年度の翌年度の4月1日から有効期限まで介護等の業務に継続して従事し、有効期限から14日以内に届出書類を試験センターに提出すると、期限を解除できます。ただし、令和9年4月1日以降の卒業者は継続従事では解除できず、合格が必要です(介護福祉士経過措置登録について)。

ケアマネは介護福祉士を持っていないと受験できませんか?

介護福祉士以外にも、受験資格になる資格(看護師・社会福祉士などの国家資格のほか、准看護師・栄養士など)に基づく業務や、生活相談員などの相談援助業務の経験で受験できます。これらの業務の期間は合わせて数えられ、通算5年以上かつ900日以上の従事が必要です。初任者研修・実務者研修の修了だけでは受験資格になりません。受験要件の見直しは、施行通知があるものと議論中のものを区別し、受験する年度の都道府県の試験案内で確認してください。

介護福祉士の資格に更新はありますか?

国家試験に合格して登録した介護福祉士には、更新の手続きも資格の期限もありません。合格後に登録しないと、介護福祉士を名乗れません。養成施設の卒業者が経過措置登録を受けた場合は資格登録の有効期限(5年)があり、期限までに試験に合格するか、継続して従事したうえで期限から14日以内に届出をしないと、資格の効力を失います。令和9年4月1日以降に卒業する人は継続従事では解除できず、期限までに国家試験に合格する必要があります。ケアマネの介護支援専門員証は現在5年の有効期間と更新研修がありますが、有効期間と更新研修の廃止が法律で決まっています(施行日は政令で定められます)。

出典