この記事では、介護福祉士・介護職の平均年収を公的統計で確認できます。あわせて、資格別・年齢別・施設種別・地域別の差、処遇改善加算の仕組み、今後の需要見通しを整理します。最後に、自分の年収を統計と比べる手順と、年収を上げる方法をまとめます。

介護職・介護福祉士の平均年収

介護職の年収は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で確認できます。下の表は、毎月の給与と年間賞与から年収を算出したものです。

介護職の推定年収(2023年)
職種(統計上の区分)男女計男女
介護職員(医療・福祉施設等)371.4万円401万円354万円
訪問介護従事者390万円425.9万円374.1万円
介護支援専門員(ケアマネージャー)421.6万円462.7万円408万円
その他の社会福祉専門職業従事者※代用区分425.8万円461.4万円397.8万円
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年(一般労働者、企業規模計)。推定年収 = きまって支給する現金給与額 × 12 + 年間賞与その他特別給与額。 ※代用区分: 独立した職種区分が無いため、上位の区分の値で代用。 その他の社会福祉専門職業従事者: 社会福祉士・精神保健福祉士・生活相談員は賃金構造基本統計調査に独立した職種区分が無く、この区分(保育士・ケアマネを除く社会福祉専門職)に含まれる

統計上の「介護職員」と「訪問介護従事者」の違い

賃金構造基本統計調査では、介護の仕事が2つの職種に分かれています。施設などで働く人は「介護職員(医療・福祉施設等)」です。利用者の自宅を訪ねる人は「訪問介護従事者」です。

この区分は資格の有無で分けていません。そのため「介護職員」には、介護福祉士と無資格の人の両方が含まれます。介護福祉士に限った給与は、後述の介護従事者処遇状況等調査の保有資格別データで補います。ただしこの調査は、処遇改善加算を取得している事業所の常勤者が中心です。

月給・賞与・年収の内訳

賃金構造基本統計調査の年収は、次の3つから成ります。

  • 所定内給与:基本給や資格手当など、毎月決まって支払われる額
  • 超過労働給与:残業代や休日出勤の手当
  • 年間賞与その他特別給与:ボーナスなど

所定内給与と超過労働給与を合わせたものが「きまって支給する現金給与額」です。統計の年収は、6月分の「きまって支給する現金給与額」を12倍し、前年1年間の賞与を足した値です(賃金構造基本統計調査 主な用語の説明)。1年間に実際に支払われた額とは一致しないことがあります。夜勤手当は毎月の給与に含まれます。

統計によって年収の数字が違う理由

介護職の給与を示す統計は複数あり、数字がずれることがあります。主な理由は、対象と集計方法の違いです。

統計実施主体主な単位対象の特徴
賃金構造基本統計調査厚生労働省月給・賞与から年収を算出職種別。資格の有無は区別しない
介護従事者処遇状況等調査厚生労働省月給(賞与等を月割りで含む)処遇改善加算を取得した事業所の常勤者が中心
介護労働実態調査介護労働安定センター月給・時給事業所と労働者へのアンケート

年収換算か月給か、常勤だけか、加算取得事業所だけかを確かめてから比べます。調査時期も統計ごとに違います。

資格別の年収:介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・ケアマネ・生活相談員

資格別の給与は、介護従事者処遇状況等調査で一部を比べられます。保有資格別の表は、介護職員の平均給与を保有資格ごとに集計したもので、「社会福祉士」の行は社会福祉士の資格を持つ介護職員の平均です。職種別の表には、生活相談員・支援相談員と介護支援専門員の区分があります。精神保健福祉士の区分は、どちらの表にもありません(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要)。この記事では金額を手で書きません。大小関係と理由を説明します。

無資格・初任者研修・実務者研修・介護福祉士の差

介護従事者処遇状況等調査の保有資格別の平均給与では、保有資格なしより初任者研修、初任者研修より実務者研修、実務者研修より介護福祉士の方が高い傾向があります。調査は差の要因を分けて示していません。資格手当や任される役割の違いのほか、勤続年数など複数の要素が関係すると考えられます。同じ調査では、資格ごとに平均勤続年数も異なります(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要)。

介護福祉士の年収

介護福祉士は、介護職の中で唯一の国家資格です。資格手当がある職場が多い一方で、ない職場もあります。令和2年度の介護福祉士就労状況調査では、職場に介護福祉士の資格手当が「ある」と答えた人が62.9%、「ない」が34.0%でした(社会福祉振興・試験センター 令和2年度 介護福祉士就労状況調査)。リーダーや主任への登用の要件に介護福祉士を含める職場もあります。登用の基準は職場ごとに異なります。処遇改善加算では、経験・技能のある介護職員を評価する考え方が取られてきました。加算の配分を通じて給与に反映される場合があります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の年収

ケアマネジャーは、賃金構造基本統計調査に「介護支援専門員(ケアマネージャー)」という単独の区分があります。賃金構造基本統計調査と介護従事者処遇状況等調査で、介護職員と比べることができます。ただし介護従事者処遇状況等調査は処遇改善加算を取得している事業所の集計のため、2026年5月まで加算の対象外だった居宅介護支援のケアマネは、集計に含まれていないと考えられます(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要)。

基本給はケアマネの方が高い傾向があります。ただし居宅のケアマネには夜勤がなく、夜勤手当が付きません。そのため、夜勤のある介護福祉士と比べると、差が小さくなったり逆転したりすることがあります。なお居宅介護支援は長く処遇改善加算の対象外でしたが、2026年6月に居宅介護支援などを対象とする処遇改善加算が新設されました(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)。加算率と要件は、これまで加算の対象だったサービスの加算とは別に定められており、ケアマネ側の賃金を押し上げる方向の変化です。施設ケアマネは施設側の加算の配分を受けられる場合があり、条件が異なります。

社会福祉士の年収

社会福祉士は、賃金構造基本統計調査に単独の職種区分がありません。「その他の社会福祉専門職業従事者」に含まれます。そのため、社会福祉士だけの年収を政府統計で直接示すことはできません。

勤務先によって条件は変わります。介護施設の生活相談員、病院の医療ソーシャルワーカー、行政の福祉職では、給与体系が別です。介護施設で相談職として働く場合は、介護従事者処遇状況等調査の職種別の「生活相談員・支援相談員」が目安になります。保有資格別の表の「社会福祉士」は、社会福祉士の資格を持つ介護職員の平均で、相談職の給与ではありません(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要)。

精神保健福祉士の年収

精神保健福祉士も単独の職種区分がなく、「その他の社会福祉専門職業従事者」に含まれます。勤務先は、精神科病院、障害福祉サービス事業所、行政などが中心です。病院勤務と福祉施設勤務では給与表が違うため、勤務先ごとに求人条件で確認します。

生活相談員の年収

生活相談員にも、賃金構造基本統計調査の単独区分はありません。介護施設内の比較は、介護従事者処遇状況等調査の「生活相談員・支援相談員」の区分で確認できます。

生活相談員の資格要件は、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格などです。要件は自治体で異なる場合があります。社会福祉士を持つ人に資格手当を付ける職場もあり、保有資格で待遇が変わることがあります。

資格手当と配置の違いで年収が変わる理由

同じ資格でも、年収は次の要素で変わります。

要素年収への影響
資格手当有無と金額は事業所ごとに違う
夜勤の有無夜勤手当の分だけ月給が変わる
処遇改善加算事業所の取得区分と配分方法で変わる
配置・役職相談職・リーダー職などに役職手当が付く職場がある。有無と額は職場ごとに違う

資格の取得方法や費用は、資格の解説ページで確認できるよう準備中です。

年齢別・性別・経験年数別の年収

年齢別の年収は、賃金構造基本統計調査の年齢階級別データで確認できます。

介護職員(医療・福祉施設等)の年齢階級別の推定年収(男女計)
年齢階級推定年収きまって支給する給与(月額)年間賞与
20~24歳318.5万円235,100円364,000円
25~29歳355.2万円253,100円515,000円
30~34歳376万円265,300円575,900円
35~39歳387.8万円272,500円607,500円
40~44歳406.4万円282,300円676,100円
45~49歳402.5万円282,100円639,300円
50~54歳381.4万円270,600円566,900円
55~59歳371.9万円264,300円547,200円
60~64歳337.2万円241,800円470,000円
65~69歳301.4万円227,600円282,800円
70歳~274.7万円208,400円246,100円
~19歳252.3万円199,100円134,100円
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年(一般労働者)。推定年収 = きまって支給する現金給与額 × 12 + 年間賞与その他特別給与額。

年齢別の年収の推移

表の年齢階級ごとの数字を見ると、年齢による変化が分かります。介護職の給与は、年齢だけでなく、資格・役職・夜勤の有無でも変わります。介護従事者処遇状況等調査の勤続年数別では、勤続が長いほど平均給与が高くなっています(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要)。他の職種と伸び方を比べたい場合は、e-Stat の賃金構造基本統計調査の職種別・年齢階級別の表で確認できます。

男女で差が出る背景(勤務形態・夜勤・役職)

賃金構造基本統計調査には性別の集計もあります。男女で差が見られる場合、背景には次の違いが考えられます。

  • 夜勤に入る回数
  • 役職に就いている割合
  • 勤続年数

統計の平均値だけでは、同じ条件で差があるのかは判断できません。同じ年齢・勤続年数・役職でそろえて比べる必要があります。

勤続年数・経験年数と昇給

賃金構造基本統計調査の職種別の表は経験年数階級別で、勤続年数階級別の表はありません(e-Stat 令和7年賃金構造基本統計調査)。介護職員の勤続年数別の平均給与額は、令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要の勤続年数別の表で確認できます。これまで加算の対象だったサービスでは、介護職員等処遇改善加算の「キャリアパス要件」のうち、任用要件・賃金体系の整備(要件Ⅰ)と研修の実施(要件Ⅱ)はすべての区分の要件で、昇給の仕組み(要件Ⅲ)は加算Ⅳ以外の区分の要件です。昇給の仕組みは、経験に応じた昇給、資格等に応じた昇給、実技試験や人事評価の結果に基づく定期の昇給判定のいずれかです(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)。これらの区分を取得している職場では、原則として、昇給の仕組みを就業規則などで定めて全ての介護職員に周知していることが求められます。ただし2026年度は、令和8年度特例要件を満たす事業所等が昇給の仕組みの整備を誓約すれば要件を満たすものとして扱われ、整備の期限は2027年3月末とされています。そのため、まだ整備の途中の職場もあります(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)。

施設・サービス種別の年収の違い

施設・サービス種別の給与は、介護従事者処遇状況等調査のサービス種類別の平均給与額と、介護労働実態調査のサービス系統別の賃金で比べられます。調査はサービスごとの平均給与額を示すもので、違いの要因は示していません。夜勤の有無、法人の規模、加算の取得状況、平均勤続年数などが関係すると考えられます。同じ調査の常勤・月給の平均では、夜勤の少ない訪問介護が夜勤のある介護医療院より高く、平均勤続年数もサービスごとに違います(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査結果(統計表))。

入所系(特養・老健・介護医療院)

介護従事者処遇状況等調査のサービス種類別データでは、特養・老健は高めの傾向があります。夜勤手当が給与を押し上げる要素の一つです。ただし入所系がすべて高いわけではなく、同じ調査では介護医療院は全体平均を下回り、夜勤のあるグループホームも低めです(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要)。特養・老健は、社会福祉法人や医療法人など規模の大きい運営主体が多く、加算を上位区分で取得している例もあります。

有料老人ホーム・グループホーム

有料老人ホームとグループホームも夜勤があります。給与は運営会社の方針で幅があります。グループホームは小規模な事業所が多く、夜勤の体制や手当の額が事業所ごとに違います(介護労働実態調査)。

訪問介護・通所介護

通所介護は日勤中心で、夜勤手当がありません。平均給与は入所系より低めです。ただし調査の平均給与額は基本給・手当・一時金の合計で、夜勤手当の額は分けて示されていません。平均勤続年数もサービスごとに違うため、差のすべてが夜勤手当によるものとはいえません(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査結果(統計表))。一方、訪問介護は夜勤が少ないものの、常勤・月給の平均では特養に近い水準です(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要)。

訪問介護は、常勤と登録ヘルパーで収入の考え方が違います。常勤は月給制が中心です。登録ヘルパーは、訪問した時間に対する時給制が多く、訪問件数で収入が変わります。事業所が業務に必要な移動を命じ、その時間を自由に使えない場合、移動時間は労働時間に当たり、賃金の対象になります。利用者宅から次の利用者宅への移動で、通常の移動に要する時間程度であれば、労働時間に当たると考えられるとされています。移動時間の時給を介護の時間と別に定めることは認められていますが、最低賃金額を下回らない範囲で労使の話し合いにより決めるものとされています(厚生労働省 通達「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」)。

夜勤の有無と常勤・非常勤の差

都道府県・地域別の年収差

都道府県別の介護職の給与は、e-Stat の賃金構造基本統計調査の都道府県別・職種別の表で確認できます。

都市部と地方で差が出る理由

賃金構造基本統計調査の都道府県別データでは、都市部の方が高い傾向が見られます。理由には、地域ごとの賃金水準の差、他産業との人材の取り合い、介護報酬の地域区分による単価差があります。

介護報酬の地域区分による単価差

介護報酬には「地域区分」があります。人件費の地域差を反映するため、地域ごとに1単位あたりの単価が上乗せされる仕組みです(厚生労働省 介護給付費分科会 資料「地域区分」)。単価の高い地域では事業所の収入が増え、給与に回せる原資も大きくなります。ただし実際の給与への反映は事業所の判断によります。

生活コストを含めた比べ方

額面の差だけで判断しない方がよいでしょう。都市部は家賃が高く、通勤時間も長くなりがちです。比べるときは、家賃・通勤費・住宅手当の有無を含めて、手元に残る額で考えます。

処遇改善加算と各種手当

介護職員等処遇改善加算の仕組み(一本化後)

処遇改善加算は、介護従事者の賃金改善に使うための介護報酬の加算です。2024年度の介護報酬改定で、それまでの3つの加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。2026年6月からは、対象が介護職員から介護従事者全体に広がっています。加算には複数の区分があり、キャリアパス要件や職場環境等要件を多く満たすほど上位の区分を取得できます。2026年6月からは、生産性向上や協働化の取り組みを要件とする上乗せの区分(Ⅰロ・Ⅱロ)も設けられています(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)。

加算の配分ルールと対象サービスの拡大(居宅介護支援など)

配分は、介護職員の処遇改善が重要である点に留意しつつ、事業所内で柔軟に行うことが認められています。配分の対象には介護職員以外の職種も含まれます(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)。

居宅介護支援などは長く加算の対象外サービスでした。加算が介護職員の処遇改善を目的にした制度だったためです。2026年6月からは加算の対象が介護従事者全体に広がり、訪問看護や居宅介護支援などにも処遇改善加算が新設されました。新たに対象となったサービスの加算は、加算率(居宅介護支援は2.1%)と要件が、これまで加算の対象だったサービスの加算とは別に定められています(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)。事業所ごとの配分の実際は違うので、求人票や面接で確認してください。

夜勤手当・資格手当・役職手当

同じ資格でも額面の年収が違う理由の一つは、手当の組み合わせの違いです。基本給(法人・経験年数・地域)や、税・社会保険料も手取りに影響します。

  • 夜勤手当:回数と1回あたりの額で月給が変わる
  • 資格手当:介護福祉士の資格手当はある職場が多いが、ない職場もある(上の「介護福祉士の年収」の節の調査)。ケアマネなど他の資格の手当も、有無と額は事業所ごとに違う
  • 役職手当:リーダー・主任・管理者などに付く職場がある。有無と額は事業所ごとに違う
  • 処遇改善の配分:決まって毎月支払われる手当と賞与のどちらに、どの割合で反映するかが事業所で違う。これまで加算の対象だったサービスの加算では、加算Ⅳ相当額の2分の1以上を基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に充てる要件があります。新たに対象となった居宅介護支援などの加算にはこの要件はありませんが、どのサービスでも、新たに行う賃金改善はベースアップで行うことが基本です。ベースアップのみで行えない場合(賃金体系の整備途上など)は、その他の手当や一時金を組み合わせてもよいとされています(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)

求人票で確認したい加算・手当の項目

自分の年収を統計と比べる方法

年齢別の統計と比べる手順

  1. 源泉徴収票の「支払金額」を確認する(税金・社会保険料を引く前の額。年の途中で入職し、前職の給与を通算して年末調整を受けていない場合は入職後の分だけになるので、1年を通して勤めた年の源泉徴収票を使う。国税庁 法定調書の作成と提出の手引)
  2. 自分の職種の数字と比べる。賃金構造基本統計調査では、介護職員(医療・福祉施設等)、訪問介護従事者、介護支援専門員(ケアマネージャー)は別の職種で、賞与も職種で違います。上の年齢別の表は介護職員(医療・福祉施設等)のものなので、訪問介護やケアマネの人は上の全体の表か、e-Stat 令和7年賃金構造基本統計調査の職種別の表で自分の年齢階級の年収を確認する
  3. 2つを比べ、差があれば理由を次の項目で確かめる

比べるときの注意(賞与・手当・勤務形態をそろえる)

賃金構造基本統計調査の年収は、6月分の所定内給与と超過労働給与を12倍し、前年1年間の賞与を足した値です(賃金構造基本統計調査 主な用語の説明)。源泉徴収票の支払金額は、その年中に支払の確定した給与等の総額で、残業代や賞与を含みます(国税庁 法定調書の作成と提出の手引)。統計の月給には通勤手当が含まれる一方、源泉徴収票には通勤手当の非課税分が含まれないため、統計の方がその分だけ高く出ます。

統計の多くはフルタイムの労働者が対象です。短時間勤務の人は、年収ではなく時給で比べる方が実態に近くなります。

統計より低いと感じたときに確認すること

確認すること見るポイント
資格介護福祉士・実務者研修を持っているか
夜勤夜勤の有無と回数
加算職場の処遇改善加算の区分と配分方法
地域勤務地の地域区分と、都道府県別の統計
勤務先施設種別・法人の規模
勤続年数今の法人での勤続年数(法人を移ると通算されない)

介護職員の平均給与は、同じ法人での勤続が長いほど高くなっています(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要 の勤続年数別の表。勤続年数は同一法人の施設・事業所での通算)。法人を移って間もない人は、その分も含めて比べてください。

自分に合う働き方を整理したい場合は、介護職の働き方診断で条件を確認できます。

介護職が年収を上げる方法

資格を取る(実務者研修→介護福祉士→ケアマネ・認定介護福祉士)

資格取得は、時間はかかりますが、資格手当や任される役割の変化を通じて効果が続きやすい方法です。実務者研修を修了し、実務経験を積んで介護福祉士の国家試験を受けます。その後、ケアマネや認定介護福祉士に進む道があります。ケアマネは基本給が高い傾向がある一方、居宅では夜勤手当が付かないため、総額は勤務先の条件で変わります。介護従事者処遇状況等調査の保有資格別データでは、資格が上がるほど平均給与が高い傾向があります。ただし調査は平均の差の要因を分けて示しておらず、上がり幅は職場の手当や配分で変わります。

リーダー・主任などの役職に就く

役職に就くと、役職手当が付く職場があります。有無と額は職場ごとに違います。これまで加算の対象だったサービスでは、任用要件・賃金体系の整備(キャリアパス要件Ⅰ)が加算のすべての区分の要件で、加算を取得する職場では職位・職責に応じた任用要件と賃金体系を定めることが求められています。新たに対象となった居宅介護支援などの加算は、令和8年度特例要件(ケアプランデータ連携システムの利用、または社会福祉連携推進法人への所属)を満たせば、この要件がなくても算定できます(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)。

夜勤や勤務形態を見直す

夜勤の回数を増やすと、手当の分だけ月給が上がります。非常勤から常勤に変わると、賞与の対象になる場合があります。体の負担や生活リズムと合わせて判断します。

加算の取得状況や手当が手厚い職場に移る

同じ資格・経験でも、加算の区分や手当の設計で年収は変わります。資格取得と転職の順番は、今の職場で資格取得の支援があるかで決めるとよいでしょう。支援があれば、先に資格を取る選択が取りやすくなります。働きながら取る負担や、転職先の取得支援の有無でも順番は変わります。支援がなく、加算や手当の条件も低いなら、転職を先に検討する方法もあります。

転職先は、求人票の項目(加算区分・手当・賞与)をそろえて比べます。転職サービスは、比較ページで条件から選べるよう準備中です。

介護職の将来性:需要の見通しと賃上げの動向

必要になる介護職員数の見通し

厚生労働省は、第9期介護保険事業計画に基づき、今後必要になる介護職員数の見通しを公表しています(厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。高齢化に伴い、介護職員の必要数は今後も増えると見込まれています。

介護関係職種の有効求人倍率

厚生労働省の資料では、「介護関係職種」の有効求人倍率を、職業安定業務統計の4つの職業(福祉施設指導専門員、その他の社会福祉専門職業従事者、家政婦(夫)・家事手伝い、介護サービス職業従事者)の合計として示しており、全職業の平均より高い水準が続いています(社会保障審議会 福祉部会 福祉人材確保専門委員会 資料「介護人材確保の現状について」)。毎月の一般職業紹介状況では、参考統計表の「介護サービス職業従事者」の区分で確認できます(一般職業紹介状況 参考統計表)。事業所の従業員不足感は、介護労働実態調査でも確認できます。

賃上げ政策と介護報酬改定の動向

すでに決まっている施策として、2025年度補正予算による賃上げ支援(2025年12月〜2026年5月分。社会保障審議会 介護給付費分科会「令和8年度介護報酬改定に関する審議報告」)と、2026年6月からの処遇改善加算の拡充(期中改定。厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)があります。次回以降の報酬改定については、公開時点で議論中の内容を含むため、確定した内容は厚生労働省の公表資料で確認してください。

これから求められる人材

jobtagでは、介護福祉士・介護職員の仕事内容や必要なスキルを確認できます。認知症ケアや医療的ケアの知識、チームをまとめる力は、資格の取得や役職への登用の材料になることがあります。評価の基準は職場ごとに異なります。

出典とデータの見方

使用した統計の調査時期と定義

統計定義のポイント
賃金構造基本統計調査月給と賞与から年収を算出。職種別で資格は区別しない
介護従事者処遇状況等調査加算取得事業所の常勤者が中心。保有資格別・サービス種類別がある
介護労働実態調査事業所・労働者へのアンケート。職種別・サービス系統別の賃金
jobtag職業ごとの仕事内容・統計情報の要約

各表の調査年は、表のキャプションに記載しています。

統計が更新されるタイミング

賃金構造基本統計調査と介護労働実態調査は毎年実施されています。介護従事者処遇状況等調査は、報酬改定の効果を検証するために実施されています。新しい結果が公表されたら、表のデータを更新します。

よくある質問

介護福祉士を取ると年収はどれくらい上がりますか?

介護従事者処遇状況等調査の保有資格別の平均給与で、無資格・実務者研修と介護福祉士を比べられます。上がり幅は、資格手当だけでなく、処遇改善加算の配分や配置によって変わります。資格を取れば一律に上がるわけではありません。

ケアマネと介護福祉士では、どちらが年収が高いですか?

統計上の平均は、賃金構造基本統計調査と介護従事者処遇状況等調査で比べられます。ただし後者は処遇改善加算を取得している事業所の集計で、居宅のケアマネは含まれていないと考えられます。居宅のケアマネには夜勤手当がないため、夜勤のある介護福祉士と比べると、差が小さくなったり逆転したりすることがあります。なお2026年6月に居宅介護支援などを対象とする処遇改善加算が新設されました(上の「処遇改善加算と各種手当」を参照)。施設ケアマネか居宅かでも条件が違います。

社会福祉士・精神保健福祉士の年収は、介護福祉士と比べてどうですか?

賃金構造基本統計調査には単独の職種区分がありません。「その他の社会福祉専門職業従事者」に含まれます。介護施設の生活相談員、病院の相談員、行政職など、勤務先で大きく変わります。介護施設で相談職として働く場合は、介護従事者処遇状況等調査の職種別の「生活相談員・支援相談員」が目安になります。精神保健福祉士の区分は、この調査にはありません。

処遇改善加算は介護職員全員に配られますか?

事業所が加算を取得しているか、どの区分かによります。配分には事業所の裁量があり、職種間の配分も一定の範囲で認められています。求人票や面接で、加算の区分と、給与・賞与への反映方法を確認してください。

夜勤なしの職場に移ると年収は下がりますか?

夜勤手当がなくなる分、下がることがあります。ただし一律ではなく、常勤・月給の平均では、夜勤の少ない訪問介護は特養に近い水準です(令和6年度 介護従事者処遇状況等調査 結果の概要)。通所系は日勤中心で、給与の構造が入所系と違います。生活リズムや体の負担と合わせて判断します。

介護職の給料は今後上がりますか?

処遇改善加算の一本化など、賃上げを目的とした制度は続いています。必要な介護職員数の見通しや有効求人倍率は、厚生労働省が公表しています。すでに決まっている施策として、2025年度補正予算の賃上げ支援と、2026年6月からの処遇改善加算の拡充があります(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479)。次回以降の報酬改定は、公開時点で未確定の内容を含みます。

出典