介護職のキャリアパスをご存知ですか?大まかに分けると介護職は7つの役割があります。今回はその7つの役割ごとの目指し方・やりがい・給与についてまとめていますので、未経験者の方はもちろん、既に介護職についている方にも今後のキャリアを考える参考になればと考えています。
介護職のキャリアパスとそれぞれの目指し方・やりがい・給与
介護職のキャリアパスは、未経験者→介護職員初任者研修→介護福祉士実務者研修→介護福祉士、サービス提供責任者、生活相談員→施設長といったようにキャリアパスを進めて行くことになります。ただし施設の形態によっては若干変わってくる場合もあります。
それではそれぞれの役割について解説していきたいと思います。
未経験者
どういう資格・役割か
介護職での仕事を始めるのに最初は特に資格は必要ありません。移乗介助、食事介助、トイレ介助、入浴介助などといった介助業務、レクリエーションで主な仕事です。
デイサービス、ショートステイ、小規模多機能などの通所サービスでは入居者様を送迎します。グループホーム、小規模多機能では調理も仕事になることが多いです。ただし施設毎の特徴によって変化することがあります。
やりがい
未経験者であっても必要な場面が幅広く、それだけやりがいを感じる場面は多いです。入居者様・入居者の家族様に感謝の言葉をもらえるととてもやりがいを感じます。また入居者様との関わりが一番多くなることが多いです。
給与について
地域や施設毎に異なってきますが、20〜25万円くらいが多いと思います。訪問サービス<通所サービス<施設サービスの順で多くなっていく傾向があります。
介護職員初任者研修
どういう資格・役割か
未経験の場合と仕事内容は変わりませんが、介護職員初任者研修の資格を取ることのメリットは
- 介護未経験からでも基本的な介護技術を学べる
- 資格を持つことで転職や就業先での待遇が良くなる
- 介護福祉士実務者研修の受講料と受講時間を一部カットできる
ということが挙げられます。
130時間の研修になりますが、それだけの価値はあります。「介護を少しでも知っておきたい」「ステップアップしていきたい」ということがあれば資格を取っておいた方がいいです。施設または受講先で補助金を出してくれるところが増えてきているため、受けやすくなってきます。
やりがい
資格をとったからといって仕事内容ややりがいに大きく変わりはありませんが、学ぶことで介護知識がたくさん身につくことは間違いありません。知識が増えることで仕事が活躍できる場面は増えるといってもいいでしょう。
給与について
地域、施設によりますが資格をとることで月約1万円ほど増える施設が多いです。
介護福祉士実務者研修
どういう資格・役割か
仕事内容は先に説明した2つの役割と変わりません。介護福祉士実務者研修の資格を取るメリットは
- 未経験であっても介護を学ぶことができる
- 次の資格である介護福祉士の受講条件に満たすことができる
- サービス提供責任者になることができる
- 痰吸引と経管栄養を学ぶことができる
ということが挙げられます。
研修時間は450時間でありますが、介護職員初任者研修の資格を持っていたら一部カットできます。「介護を少しでも知っておきたい」「ステップアップしていきたい」ということがあれば資格を取っておいた方がいいです。こちらも施設、または受講先で補助金を出してくれるところが増えてきているため、受けやすくなってきます。
やりがい
資格をとったからといって仕事内容ややりがいに大きく変わりはありませんが、学ぶことで介護知識がたくさん身につくことは間違いありません。また社会福祉士の実務経験ルートの条件やサービス提供責任者になる条件に満たすことができます。知識が増えることで仕事が活躍できる場面は増え、他施設、施設でも待遇が良くなるといってもいいでしょう。
給与について
地域、施設によりますが、資格をとることで月1万円ほど増える施設が多いです。
介護福祉士
どういう資格・役割か
介護福祉士は「社会福祉及び介護福祉法」に定められる国家資格であり、介護の専門家として知識や技術を有していることを証明できる資格です。介護サービスを提供する他、家族様の相談、共に働く介護職の指導・アドバイスなど介護のリーダー的な存在として頼りにされ、活躍できます。
介護福祉士の資格を取得することで大きなメリットは
- 施設のキャリアアップに役立ち、サ責、ユニットリーダー、ケアマネジャー、管理者に繋ぐことができます。
- 福祉系の転職活動の有利になります
- 収入が上がります
- 入居者様や家族からの信頼を得られます
介護の仕事を続けておきたいと考えているのであったら資格を持っておいて損はありません。
介護福祉士の資格取得の条件は受験資格を得て、筆記試験に合格することです。介護未経験で無資格で働いていることであれば実務経験ルートになることが多いです。実務経験ルートの条件は、
- 継続年数は3年(従事時間1095日以上、従事日数540日以上)
- 介護福祉士実務者研修の資格を取得
が必要です。
他受験方法として①福祉系高校ルート、②福祉系特例高等学校ルート、③養成施設ルートがあります。
①福祉系高校ルート
- 福祉系高校を卒業後、筆記試験を合格
②福祉系特例高校学校ルート
- 実務経験9ヶ月以上、実技試験に合格。
- 介護技術講習会を講習したら実技免除できる。
③養成施設ルート
- 普通科高校を卒業であれば2年以上、福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかであれば1年以上養成施設に通う
- 5年間で筆記試験の合格または5年間介護業務を行う必要があります。
年々受講条件や資格取得方法は変わっている注意が必要です。
やりがい
介護のプロとして認められることが大きなメリットと思います。責任は増える分、やりがいはあります。
- 入居者様と入居者の家族様、スタッフの信頼されやすい
- ステップアップに繋ぎやすく、介護職だけじゃなく福祉系で幅広く活躍できる可能性を広げられる
- 福祉系の転職活動に有利になる
- 収入が上がる
というメリットは大きく、自分にとってプラスに働くことは間違いありません。
給与について
地域や施設によりますが、月1万円ほど上がることが多いです。
サービス提供責任者
どういう資格・役割か
サービス提供責任者はサ責と略されます。サ責自体に資格はありません。条件として
- 介護福祉士の資格を取得していること
- 介護福祉士実務者研修を修了
が必要です。
サ責は訪問介護事業所で運営に必要な書類の作成、訪問介護員の調整、指導などで配置されています。具体的な仕事内容は
①利用者、家族との面談
介護サービス提供前の心身の状況や自宅の状況を知るため、サービスの説明や契約のため、定期的に利用者様の状況確認と把握のために面談します。
②ケアマネジャーが開催するサービス担当者会議への出席
どのように介護サービスをしていくか、各介護サービスの担当者と会議します。
③訪問介護計画書の作成
利用者、家族の面談内容、サービス担当者会議の内容、ケアプランを元に「利用者・家族が抱える問題・希望」「介護サービスを通じて達成したい目標」「提供する具体的なサービス内容・所要時間」などを記載した訪問介護計画書を利用者や家族へ説明して、同意を得ます。
④ホームヘルパーの業務管理
利用者の状況や希望とホームヘルパーの能力、勤務可能時間などを調整し、ホームヘルパーのスケジュール管理、ホームヘルパーから提供したサービスの内容、実地状況を確認して管理します。
⑤ホームヘルパーの指導や育成
ホームヘルパーの研修計画や研修の実施、個別の技術指導などを行い、ホームヘルパーのスキルアップをサポートします。また、サービス提供開始時や慣れていないホームヘルパーが業務開始する時などは、訪問に同行してサポートします。
⑥訪問介護業務
サ責も訪問介護業務を行うことがあります。
やりがい
責任のある仕事でやりがいの大きい仕事と言えます。
- 利用者、家族の感謝の言葉をいただくこと
- ホームヘルパーが成長していくこと
- 利用者の介護サービスがうまくいっている
ことがあるとやりがいを感じ、心から仕事してよかったと思えます。
給与について
地域や施設にもよりますが、介護士と比べ、月3〜4万円ほど給与が増えます。
生活相談員
どういう資格・役割か
生活相談員は、主に特別養護老人ホーム、デイサービス事業所、ショートステイ事業所などの介護施設で働いています。
生活相談員はソーシャルワーカーと呼ばれ、利用者とその家族の相談、他施設・他職種・他機関との調整役を担います。似ている職種として、支援相談員があります。
介護老人保健施設で相談業務を担当する役割で、似ている部分が多いです。場所によって呼ばれ方が異なる職種とも言えます。
生活相談員自体に資格はありませんが、条件として
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 社会福祉主事任用資格
が必要なことが多く、地域によって条件が異なります。
神奈川県では、介護保険施設または通所系サービス事業所において、常勤2年以上(勤務日数360日以上)介護業務の実務経験が必要です。京都府では、介護サービス、保険医療サービス、福祉サービスの直接処遇の経験が概ね2年以上が必要です。と言ったようにそれぞれの都道府県の定めるものを確認してみることをお勧めします。
具体的な仕事内容は下記です。
- 利用者の利用開始・中止に関する業務
- 利用者、家族への相談援助
- ケアマネジャー、他機関、地域との連絡・調整
- 施設内、事業所内の連絡・調整
- 介護職員のサポート
- 苦情対応、窓口業務
- ケアプランの作成
やりがい
生活相談員のやりがいは
- 利用者やその家族の生活が良い方向に向き、感謝の言葉をいただく
- 介護職、外部の専門職と連携がうまくいく
- 利用者やその家族の必要な存在になる
ということが挙げられます。これらのことがあると心からこの仕事をしていてよかったと感じるはずです。
給与について
地域や施設にもよりますが、月26万円ほどなことが多いです。少なくとも介護士よりは給与は高くなる傾向があります。
施設長
どういう資格・役割か
施設長とは、介護の知識だけでなく、施設が滞りなく運営していけるように多岐にわたる業務を行います。施設長になる条件は無資格でもなることは可能ですが、必要とされる資格や要件を満たすことが条件です。また施設ごとによって異なります。
①特別養護老人ホーム
- 社会福祉主事の要件を満たす者
- 社会福祉事業に2年以上従事した者
- 社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者
②介護老人保健施設
原則は医師と定められています。しかし、都道府県知事の承認を受ければ、医師以外の者が管理者になることが可能です。その場合、管理者は常勤であることが条件になっています。
③介護療養型医療施設
医療的な処置が必要な入居者様がほとんどのため、臨床研修を終了した医師でないといけません。
④グループホームと小規模多機能型居宅介護事業所
管理者は常勤であることと他、以下の二つの資格要件を満たすことが必要です。
- 特別養護老人ホーム、介護老人福祉施設、デイサービスなどの従事者または訪問介護員として、3年以上認知症高齢者の介護に従事した経験を持つ者。
- 厚生労働大臣が定める「認知症対応サービス事業者管理者研修」を修了していること
⑤有料老人ホームやデイサービス、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所
要件はありません。もちろん介護の知識や経験は求められている事業所がほとんどです。
具体的な仕事内容
①利用者の管理
利用者の既往歴、病歴などの健康状態とケアプランを理解した上で、適切な介護サービスをしているのか確認します。入居時や退去時のほか、状況に応じて利用者本人や家族との面談を行う。また、面談を通じて意向に沿ったサービスを提供できているかを確認します。
②スタッフの管理
介護スタッフの面接や採用、育成、保有資格や能力に応じた人員配置を行い、問題を生じた時人員配置の見直しをします。また、現場の状況把握のため、スタッフの面談やアンケートを定期的に行います。人事課など専門の担当者がいない場合は、スタッフの勤務状況や入社・退社などの労務に関することも管理します。
③運営の管理
施設の掲げる理念や運営方針に沿ったサービスを計画し、スタッフに周知させます。尊守すべき法令などを把握し、行政関係者との適切な関係を保つように努めます。また地域や行政、他事業所とのつながりや外部に向けた広報活動も積極的に行います。
④収支管理
利用者との契約業務、保険請求業務、各種経費の管理などを行います。利用者が施設を利用する際に必要とする家賃や食費、共益費などや施設運営に関わる経費、介護報酬の請求、人件費などをしっかり把握し、施設管理を行います。
⑤行政管理
介護保険事業について届け出の内容に変更があった場合は、10日以内に行政機関の介護保険担当窓口に変更届を提出する。その他、施設の運営に必要な書類の作成や提出など行政関係の手続きに漏れのないように管理します。
やりがい
施設長のやりがいは
- 利用者やその家族の生活が良い方向に向き、感謝の言葉をいただく
- 介護士などの成長を感じた時
- 利用者やその家族の必要な存在になる
- 施設の知名度が上がった時
これらのことがあるとやりがいを感じます。
給与について
地域や施設ごとによって異なりますが、月35万円ほどになることが多いです。
さいごに
初めての介護職への転職だと情報が不足していると思いますし、既に介護職の方も事業所によって業務内容も様々で転職を考え始めたらまず情報収集が大事です。そういった場合はまず介護転職サイトへ登録するのをおすすめします。もしどういったサイトに登録すればよいかわからないということであれば介護転職サイトを解説した記事もございますのでこちらを参考になさってください。
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